いし

いし
I
いし【以次】
〔「し」は漢音〕
官位などによる席順が, 上席の人に次ぐこと。 また, その人。 次席。
II
いし【位子】
律令制における下級官の任用の規定。 六位以下八位以上の官人の嫡子に試験を受けさせて下級官吏に任用したもの。
III
いし【倚子】
〔「し」は漢音。 禅宗渡来以後唐音で「いす」といい, 多く「椅子」と書くようになった〕
中国伝来の座具。 座部は四角形で四本の足がつき, 鳥居形の背と勾欄(コウラン)形のひじ掛けがあり, 敷物を敷いて用いた。 天皇や高官の公卿が使用。
IV
いし【医師】
〔古くは「いじ」とも〕
(1)医師法に基づき, 傷病の診察・治療を職業とする人。 医者。
(2)律令制で, 典薬寮の職員。
(3)江戸幕府で, 医療を担当する職員。 奥医師・表医師などに分かれる。
V
いし【意志】
(1)考え。 意向。

「~を固める」

(2)物事をなすにあたっての積極的なこころざし。

「~の強い人」「~の力でやりとげる」

(3)〔哲・倫〕
〔will〕
ある目的を実現するために自発的で意識的な行動を生起させる内的意欲。 道徳的価値評価の原因ともなる。
(4)〔心〕 生活体が示す目的的行動を生起させ, それを統制する心的過程。 反射的・本能的な行動とは区別される。
(5)文法で, 話し手のある事を実現させようとする意向を表す言い方。 口語では助動詞「う・よう」, 文語では助動詞「む(ん)」「むず(んず)」を付けて言い表す。
VI
いし【意思】
(1)心の中に思い浮かべる, 何かをしようという考え。 思い。

「撤回する~はない」

(2)〔法〕(ア)民法上, 欲求ないし承認。 表示行為の直接の原因としての心理作用。 (イ)刑法上, 自分の為(ナ)そうとする行為についての認識。
VII
いし【懿旨】
太皇太后・皇太后・皇后の命令。
VIII
いし【異志】
(1)「異心(イシン)」に同じ。
(2)普通の人とは違うすぐれた志。
IX
いし【石】
(1)鉱物質の塊。 岩より小さく, 砂より大きいもの。 礫(レキ)。

「~につまずく」

(2)岩石・鉱石, また, 石材などの総称。

「~を切り出す」

(3)各種の宝石や鉱物の加工品。 宝石・碁石・硯(スズリ)石・墓石やライターの発火合金など。 また, 時計の軸受けに用いる宝石。
(4)結石(ケツセキ)のこと。
(5)トランジスターや IC などの俗称。
(6)じゃんけんの手の一。 握り拳(コブシ)で示す。 ぐう。
(7)冷たいもの, 硬いもの, 寡黙なもの, 非情なものをたとえていう。

「~のようにおしだまる」

(8)〔「石御器(イシゴキ)」の略〕
茶碗。

「この~できゆつとやらんせ/浄瑠璃・妹背山」

~が流れて木の葉が沈む
〔新語(弁惑)〕
物事が道理と逆であることのたとえ。
~で手を詰・める
進退窮まる。 動きがとれない。
~に齧(カジ)りついても
どんな苦労をしても。 どんな困難があっても耐えて。

「~やり抜く覚悟です」

~に灸(キユウ)
効き目のない事のたとえ。 石に針。 糠(ヌカ)に釘。
~に漱(クチスス)ぎ流れに枕(マクラ)す
屁理屈を並べ負け惜しみの強いことのたとえ。 漱石枕流(ソウセキチンリユウ)。
〔「世説新語(排調)」にある故事から出た句。 晋(シン)の孫楚(ソンソ)が, 「石に枕し流れに漱ぐ」と言うべきところを誤って「石に漱ぎ流れに枕す」と言ってしまい, とがめられると, 石に漱ぐのは歯を磨くため, 流れに枕するのは耳を洗うためだ, と言ってごまかしたという〕
~に立つ矢
〔「韓詩外伝」の楚の熊渠子(ユウキヨシ)の話や, 「史記(李広伝)」の, 虎と見誤って石を射たところ矢は石を射通した, という故事から〕
心をこめて事にあたれば, どんな難事でも成就するというたとえ。 念力岩を通す。
~に針
「石に灸(キユウ)」に同じ。
~に布団(フトン)は着せられず
墓石に布団をかけてもむだである。 親の生きているうちに孝行をしておかなければ, その死後に後悔をしてもまにあわない。 孝行をしたいときには親はなし。
~に枕(マクラ)し流れに漱(クチスス)ぐ
〔蜀書(彭羕伝)「枕石漱流」〕
山水の間にかくれ住んで, 自由な生活をすることのたとえ。
~の上にも三年
〔冷たい石の上でも三年も居れば暖かになるという意から〕
辛抱していれば, やがては成功するものだ。 忍耐力が大切なことのたとえ。
~を抱(イダ)きて淵(フチ)に入る
〔韓詩外伝〕
危険が大きいこと, みずから進んで危難を招くことのたとえ。
X
いし【移徙】
移り動くこと。 移転。 移動。
XI
いし【縊死】
首をくくって死ぬこと。
XII
いし【美し】
〔中世・近世には口語形「いしい」も用いられた〕
(1)よい。 好ましい。

「鞠(マリ)は~・しいものかな/弁内侍日記」

(2)巧みだ。 上手だ。

「『この御馬はかさ驚きやし侍らん』と申せば, ~・しく相したりとて/中務内侍日記」

(3)けなげだ。 殊勝だ。

「~・しくも宣ひたり/太平記 9」

(4)〔中世女性語。 のち「お」を付けて「おいしい」となる〕
美味だ。 うまい。

「~・しい酒でおりやる/狂言・比丘貞」

XIII
いし【胃歯】
(1)ある種の甲殻類の胃の内面にあるキチン質の硬い突起。 食物を砕く役割をする。
(2)軟体動物のアメフラシなどの胃壁にある十数個の硬い粒状体。 食物を砕くとともに, 消化酵素を供給する。
XIV
いし【違旨】
趣旨にたがうこと。 仰せに背くこと。
XV
いし【遺址】
昔, 建物・城などのあったあと。
XVI
いし【遺子】
親の死後に残された子。 遺児。
XVII
いし【遺屍】
死体。 なきがら。
XVIII
いし【遺志】
死んだ人が生前もっていた志。
XIX
いし【遺旨】
前人の残した考え。
XX
いし【闈司】
みかどのつかさ(闈司)
XXI
いし【頤指・頤使】
人をあごで使うこと。

「~に甘んずる」「人を~する」


Japanese explanatory dictionaries. 2013.

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